旅の楽しみの一つが、お土産探しですね。
「これは○○のために買う!」と意気込んでいるうちに、気がつけば自分用のお土産が増えているなんてこと、よくあります。
その土地ならではの商品を前にすると、つい購入してしまうのが人情です。
お土産を選ぶ際に迷うことも多いですが、結局は買うことに落ち着くことがほとんどです。
さて、「お土産」という言葉、どうして「おみやげ」と読むのでしょうか。
「土」は「み」と読むのでしょうか?それとも「産」は「やげ」になるのでしょうか?もしかすると「土」が「みや」で、「産」が「げ」?
なかなか複雑です。
そこで、「お土産」という言葉の起源をこの機会に調べてみることにしました。
「おみやげ」それとも「おみあげ」?どちらが適切な表記か
「土産」という言葉は、もともとは「その土地の産物」という意味で、「とさん」や「どさん」とも読まれていました。
一方で、音の方の「みやげ」は「人に喜ばれるようなものを選び出す」という意味合いで、「見上げ」と表され、「みあげ」から「みやげ」へと変化しました。
このため、「お土産(みやげ)」は「見上げ(みあげ)」を当て字に使った形です。
その語源を考えると、「おみやげ」と「おみあげ」のどちらも間違いではありませんが、漢字と音の違いから読み方に混乱が生じたのでしょう。
「見上げ」と「土産」は本来異なる意味を持つ言葉ですが、室町時代に混用され始め、「土産」が「みやげ」と読まれるようになった歴史があります。
現代の辞書には「おみやげ」の表記しか記載されておらず、「おみあげ」は登録されていません。語源としては「おみあげ」とされているものの、現在の標準表記は「おみやげ」です。
また、「みやげ」の語源に関する異説も存在し、以下のようなものが挙げられます。
- 屯倉(みやけ)
- 都笥(みやけ)
- 宮倉(みやけ)
- 宮笥(みやけ)
お土産文化の起源:お伊勢参りの影響
かつて、多くの日本人が一生に一度のお伊勢参りを夢見ていました。しかし、そこには大きな費用が必要でした。
その解決策として、「お伊勢講」という制度が生まれました。「講」とは、共同貯金のようなものです。メンバーは定期的にお金を出し合い、貯金が十分になると、代表者が皆の分も持ってお伊勢参りに行きました。
この代表者は公平を期すためにくじ引きで選ばれ、その結果を尊重するのが一般的でした。
お伊勢参りから持ち帰られるお土産の原型は、「宮笥(みやけ)」と呼ばれる神社からのお札が入れられる板でした。これが後に広まり、お土産文化が形成されたとされています。
初期は宮笥だけがお土産として扱われていましたが、徐々に伊勢神宮周辺で売られる土産物店が増え、多様なお土産が販売されるようになりました。
お伊勢参りの代表的なお土産と言えば、「赤福」が有名です。
赤福は1700年代初頭に創業され、お伊勢参りの際に食べられることが多いですが、保存が効かないため、江戸時代には持ち帰ることが難しかった可能性があります。
今日ではお伊勢参りをした際の赤福を購入する場所も、伊勢市内だけでなく帰路の駅や空港などで広がっています。
これは、過去と現在とでお土産の購入習慣が変化している一例です。
まとめ:お土産の読み方と起源について
お土産という言葉は、「おみやげ」と読まれますが、この読み方は一見不自然に思えるかもしれません。実は、「土産」が「その土地の産物」を意味するため、当て字で「おみやげ」と読むようになったのです。
また、お土産の習慣はお伊勢参りに由来しているとされています。
参拝者は、支援してくれた人々への感謝の印として、旅先から特産品を持ち帰っていたのです。
余談ですが、私もお伊勢参りしたときは、赤福を食べさらにお土産に買って帰ってきました。
赤福はお土産に喜ばれますしね。