上司や目上の方に「是非このサービスをお使いください」と伝える時、多くの場合、「利用」という言葉の前に「ご」を加えて「ご利用」と表現します。
口頭での会話では「ごりよう」と発音されるため、「ご利用」と書くことが多いですし、「御」を使って「御利用」と書く必要があるかどうかについて迷うことは少ないでしょう。
ただ、文書を作成する際にどちらの表記を用いるべきか、迷うことがあります。
この記事では、「ご利用」と「御利用」、どちらを使うべきかについて詳しく解説します。
「ご利用」と「御利用」、どちらを使うべきか?
「ご利用」と「御利用」の表記については、どちらも誤りではないとされています。
これは、「御」が「ご」の漢字形であり、意味の違いはないためです。
しかし、使用する文脈によっては「御利用」の方が文字が多くなり、読みにくくなることがあります。
たとえば、「ご利用ください」というフレーズはひらがなと漢字のバランスが取れており、視覚的にも読みやすいです。
一方で、「御利用御相談ください」と全て漢字で書くと、一見して読みにくくなる可能性があります。
そのため、文の読みやすさを考慮して、場合によってはひらがなを選択することが推奨されます。
公文書における「ご」と「御」の適切な使用方法
公的な文書を作成する際、漢字の使用に関する指針があります。
これにより、「ご」と「御」のどちらを使用するかが明示されています。
特に、接頭語が伴う語句を漢字で記述する場合、接頭語も漢字で書くことが推奨されています。
たとえば、「ご案内」という表現では「案内」が漢字で書かれるため、前に来る「ご」も「御案内」として漢字で表記するのが適切です。
一方で、「ごもっとも」という表現では「もっとも」が通常ひらがなで書かれるため、「ご」もひらがなで記すのが妥当です。
このような規則に従った場合、「御利用」が公文書での正しい表記とされています。
メディア産業のための独自のガイドライン
新聞や雑誌を含むメディア産業では、文部科学省が示すガイドラインとは異なる、独自の書き方のルールが存在します。
これは読者の理解を助けるため、視覚的にも読みやすい形を重視しています。例えば、「ご協力」のような表現では、漢字の「協力」の前に来る接頭語「ご」はひらがなで書くのが一般的です。
この規則に基づくと、メディアでは「ご利用」の表記が推奨されます。
文部科学省の公文書用ガイドラインとメディア用ガイドラインのどちらも法的に優劣があるわけではないですが、読みやすさを最優先に考えるならば、ひらがなでの「ご」使用が望ましいかもしれません。
まとめ
「ご利用」と「御利用」の表記はどちらも正しく、意味に差はありません。
しかし、文脈や可読性に応じて使い分けることが推奨されます。
「ご利用ください」のように漢字とひらがなのバランスが取れている場合は読みやすく、一方で「御利用御相談ください」は漢字が多くなり読みづらくなります。
公文書では、接頭語が漢字である場合には「御案内」のように全て漢字で書くことが望ましいですが、「ごもっとも」のように元々ひらがなで書かれる言葉の前の接頭語はひらがなで記すのが妥当です。
これにより、公文書での「御利用」は正しい表記とされています。